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政府のインフレ誘導は本当に「望ましい」のか?
近頃、ニュース等でも盛んに取り上げられるキーワード、「インフレ」。
各国の政府や中央銀行が、自国の一定率のインフレを誘導する金融政策は「インフレターゲット」と呼ばれ、
日本でも今、「インフレ実現で景気回復」などと言われているのを聞いた事のある方も多いのではないでしょうか。
一般論として、景気を良くするためには「2%程度の緩やかなインフレ」が望ましい、と良く言われます。
僕も今まで、額面通りにその言葉を受け取り、「緩やかなインフレが常に正しいんだ!」とずっと思い込んで来た節があります。
以前、本ブログでも取り上げましたが、近年、日銀の金融緩和により、マネタリーベース(日銀が供給するお金)も大幅に増大しています。
(「お金の流通量が増えれば」、「相対的に物価が上がる(インフレ)」という帰結ですね。)
今は政府も日銀も、あらゆる手を尽くしてインフレによる景気回復を実現させようとしている訳です。
しかし一方で、僕は最近、ふと疑問に感じる事がありました。
2%のインフレが望ましいって、よくよく考えたら・・・・
「誰にとって」だろう?って。
それは、僕たち「国民」にとって?
それとも、個人投資家や機関投資家といった「資本家」にとって?
あるいは、日銀や政府といった「為政者」にとって?
もし、本当は「他の誰かにとって」望ましい事を、いつの間にか「国民にとって」望ましい事だ、と主語がすり替えられて思い込まされていたとしたら・・?
そう考えてしまうのは、邪推だろうか?
そんな風に思っていた折に、まさにその疑問とリンクする内容の記事を発見!
そんな訳で今回も、ブログ「Grow Rich Slowly シーゲル流米国株投資で億万長者になる!」の管理人であり、長期投資家のHiro氏と、熱い議論を交わしました。
Hiro氏の見解1
(※以下、上ブログ記事本文より引用)
お金を刷る権利を与えられたごく一部の天上人がいる限り、彼ら特権階級の支配者たちがお金を刷る権利を放棄しない限り、お金は放置しておくと価値は失われていきます。
トランプ政策でドル高になると言われています。
ドルの相対的価値は確かに他国の通貨と比べて高くなるかもしれません。でもドルの絶対的な価値は下がり続けます。
FRBがインフレ目標を2%と宣言していることがその証拠です。毎年2%ずつドルの価値を下げると宣言しているではありませんか。
マイルドなインフレが正常な経済政策として当たり前と思っていませんか?それはもしかしたら為政者たちの洗脳なのかもしれませんよ。
自分の財布に入っているお金は毎日少しづつ腐っていってるんだって意識的に思いましょう。
お金なんて価値を交換するためのツールであって、それ以上でもそれ以下でもありません。
お金に振り回される人生ほどつまらない人生はないと思います。
お金の価値が徐々に下がるということは、貯金は損で借金は得だということです。
借金返済のために働かざるを得ないようなお金の奴隷になってしまうような借金は本末転倒ですが、借金それ自体は現代資本主義社会では正しい選択に思います。
だって返済する将来にはお金の価値は下がっているのに、返済額面は変わらないのですから。
インフレ教育は為政者の思惑の1つ
2%インフレで景気を良くするんだ、だから金融緩和やマネタリーベース増大も正しい、という「インフレ教育」も、本質を見通せば、あるいはポピュリズムの皮を被った為政者たちの狡猾な罠なのかも知れませんね・・。
人間の持つ時間も、エネルギーも、お金すらも、全てのリソースが目減りしていく中で、時間とエネルギーを、一定額のお金(給料)と交換させるように仕向け、疑念を抱かないように常にその仕組みから目を逸らさせ続ける事が出来れば、そりゃあ労働者はラットレースにはまり、ますます効率的に搾取されますよね。
実体経済と貨幣をワンセットで捉えがちなマインドセットの危険性を再認識しました。
Hiro氏の見解2
教育は、世界の支配者にとって都合のいいように仕組まれているとしか思えません。
教育とお金を刷る権利、この二つを手に入れれば世界を支配できます。
お金も貴重ですが、時間というリソースを無駄にしてしまうことは最悪です。最も貴重な資源はどう考えても時間です。
愛は場合によっては?お金で買えることがあるかもしれない。無理かなw?
でも、時間は絶対にお金で買えません。
時間というリソースをどこにどう配分するか、これが人生を決します。
そういう意味で、いつまでサラリーマンを続けるか真剣に考えています。(私事で恐縮です。)
おまけトピック~株式保有はシステム保有~
https://investorkei.com/archives/15416
物事を、為政者や「システムを構築する側の人間」の視点に立って眺めてみると、同じ1つの事象でも180度違う景色が見えて来て、その狡猾さ、巧妙さに、悔しさと奇妙な感嘆を覚える昨今です。
まあ、次に「じゃあ今度はそれを逆手に取ってやろう」と闘志が湧いてくるのですが笑
僕自身、究極の交換価値とは「体験(=ストーリー)」そのもの、お金はそれを得るためのツール、という感覚なので、とても強く共感出来る記事でした。
価値ある記事をいつもありがとうございます。
もちろん、「高学歴ほど、実は資本主義社会で成功するには不利なのではないか?」も拝読させていただいております。
非常に共感できます。
今はもうかつてのような立身出世型の社畜モデルは消えつつあります。
そういった世の中の変化に気付かず、いい大学いい会社に入れば人生安泰と思っている高学歴連中はもはや社会の被害者と言っても言い過ぎではありません。
時代は変化しているのに、社会の価値観(特に親の影響)や教育が変わらないことが原因だと思います。
高学歴の人たちは無駄にプライドが高いので、逃げることを知らずに、がむしゃらに仕事をやって出世することばかり考えます。
逃げることも人生で必要です。努力は素敵ですが、自分が不得手な道で努力を続けても意義は薄いです。
「成功」のハシゴを駆け上って長い時間かけて頂上に辿り着いたけど、そのはしごが掛け違いだったと気づいたとき、、その時すでに生まれて60年経過していたら、、残念ですが人生はもうやり直せないでしょう。
また、高学歴な人は優良企業に入社できる可能性が高く、そこでの環境が心地よくて起業や投資という別の収入源を考えようという発想すら生まれません。
>物事を、為政者や「システムを構築する側の人間」の視点に立って眺めてみる・・・
その発想大事ですね。同感です。
そういう意味でも株式投資は意義深いです。
株式を保有するとはシステムを保有することです。
多くの人は(私含め)自分でシステムを構築できないのだから、せめて金を払って既存の強固なシステムを保有すればいいんです。
ビルゲイツになるのが無理でも、ビルゲイツが創ったシステムを保有することはできるのですから。マイクロソフト株を買うことで。
せめてそれくらいの行動は起こさないと、人生一生社畜労働者で終了です。
お金っていうのは本当にただのツールです。
消費して投資して、時には浪費して使えばいいと思います。
マクドナルドの記事(※)で情報が最も利益率の高い商品だと言いました。
逆説的ですが、買う側にとっても情報にお金を使うことが最も価値あることだと最近思っています。
時間とお金をかけてでも情報を大量に仕入れて脳にインプットすることで、資本主義社会を有利に生きることができます。
究極の交換価値=ストーリー
これは儲かるビジネスの極意ですね。
恐縮ですが、岩波さんとは何か価値観似ている気がします。
結論まとめ~為政者の視点~
日々、価値を失っていく運命にある「お金」。
また、刻一刻と減っていく、僕たちの「時間」と「エネルギー」。
今後、これらのリソースをどこに割いていくべきなのか?
僕たちは一度、立ち止まってよく考えてみた方が良いのかも知れません。
冒頭の命題に立ち返れば、インフレは為政者(政府)には望ましいが、国民(特に労働者)にとっては必ずしもそうとは限らない、というのが今の僕の考えです。
理由は、政府にとってはインフレの分だけ負債を圧縮出来て多大なメリットを享受できる反面、
僕たち国民にとっては、自分の持っているお金の価値が日々減っていくというデメリットが常に生じるからです。
仮に2%インフレによってお金の価値が減ったら、賃金もそれと同じ分だけ上昇するのか?
ピケティはそれを否定します。
「r>g」により、資産運用の利益(資本収益率)が賃金の伸び(経済成長率)を上回るからです。
つまり、国民の大部分(資産運用をしていない人)は2%インフレの恩恵を受けるどころか、むしろ損をしてしまうということ。
しかし、現実に政府も日銀もインフレ実現に全力で向かっている以上、
僕たち国民も、投資によって「利益を享受できる側に回る」のが有力な対抗手段の1つですね。
Hiroさん、今回も鋭い視点によるご意見を頂き、ありがとうございました!