目次
はじめに〜低ベータ銘柄で暴落(調整)に備えよう!〜
ベータ値とは、市場平均と比較して、値動きが大きいか小さいかを測る指標です。
例えば、ベータ値が2の銘柄は、市場平均の2倍の値動きになります。(景気敏感株)
(つまり、市場平均が1%上昇すると銘柄は2%上昇し、下落の場合も同じ、という事です。)
また、ベータ値が0.5の銘柄は、市場平均の0.5倍(半分)の値動きに収まります。(ディフェンシブ株)
基本的に、強気相場が続いている期間(短期間)は、ベータ値の高いシクリカル銘柄(景気敏感株)に投資する事でパフォーマンスが高くなり、
逆に弱気相場や、暴落(または一時的な調整)を挟む期間(長期間)だと、ベータ値の低いディフェンシブ株の方が下落幅を限定出来て、パフォーマンス上も有利だ、という結論に帰着します。
特にバイ&ホールド、配当再投資を重視する長期投資家の場合、このベータ値は銘柄選定の上でも非常に重要な指標です。つまり、低ければ低いほどディフェンシブ性が高い、という事です。
そこで本記事では、【NYダウ30銘柄】【シーゲルセクター(生活必需品、ヘルスケア、エネルギー)銘柄】【FANG&MANT銘柄】(+α)に絞って主要な銘柄をピックアップし、ベータ値を低い順にランキングしてみました。
【NYダウ30銘柄】ベータ値ランキング
(※データは2017年10月26日に集計。出典は主にGoogle Finance、一部ロイター。)
【第1位】WMT(ウォルマート) – 0.29
【第2位】VZ(ベライゾン) – 0.56
【第3位】NKE(ナイキ) – 0.62
【第4位】UNH(ユナイテッドヘルス) – 0.63
【第5位】PG(プロクター&ギャンブル) – 0.67
【第6位】MCD(マクドナルド) – 0.69
【第7位】KO(コカコーラ) – 0.70
【第8位】JNJ(ジョンソンアンドジョンソン) – 0.78
【第9位】MRK(メルク) – 0.80
【第10位】XOM(エクソンモービル) – 0.82
【第11位】V(ビザ) -0.95
【第12位】IBM(アイビーエム) -0.95
【第13位】PFE(ファイザー) – 1.00
【第14位】MSFT(マイクロソフト) – 1.01
【第15位】UTX(ユナイテッド・テクノロジーズ) – 1.05
【第16位】HD(ホームデポ) – 1.07
【第17位】INTC(インテル) – 1.07
【第18位】MMM(スリーエム) – 1.09
【第19位】JPM(JPモルガンチェース) – 1.18
【第20位】GE(ゼネラル・エレクトリック) – 1.19
【第21位】TRV(トラベラーズ・カンパニーズ) – 1.20
【第22位】AXP(アメリカン・エキスプレス) – 1.20
【第23位】BA(ボーイング) – 1.21
【第24位】CSCO(シスコ・システムズ) – 1.21
【第25位】CVX(シェブロン) – 1.24
【第26位】CAT(キャタピラー) – 1.25
【第27位】AAPL(アップル) – 1.29
【第28位】DIS(ウォルトディズニー) – 1.40
【第29位】GS(ゴールドマン・サックス) – 1.41
【※集計不可】DWDP(ダウ・デュポン) – ×
【生活必需品セクター】ベータ値ランキング
【第1位】WMT(ウォルマート) – 0.29
【第2位】HSY(ハーシー) – 0.39
【第3位】K(ケロッグ) – 0.48
【第4位】SYY(シスコ) – 0.52
【第5位】MKC(マコーミック) – 0.53
【第6位】HRL(ホーメルフーズ) – 0.58
【第7位】GIS(ゼネラルミルズ) – 0.61
【第8位】MO(アルトリア・グループ) – 0.64
【第9位】PG(プロクター&ギャンブル) – 0.67
【第10位】PEP(ペプシコ) – 0.68
【第11位】KO(コカコーラ) – 0.70
【第12位】DEO(ディアジオ) – 0.73 (※英国株ADR)
【第13位】KMB(キンバリー・クラーク) – 0.76
【第14位】CL(コルゲート・パルモリーブ) – 0.81
【第15位】UL(ユニリーバ) – 0.88 (※英国株ADR)
【第16位】CVS(CVSヘルス) – 0.92
【第17位】PM(フィリップモリス) – 0.93
【第18位】COST(コストコ・ホールセール) – 0.94
【第19位】BTI(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ) – 1.03 (※英国株ADR)
【第20位】MDLZ(モンデリーズ) – 1.20
【第21位】WBA(ウォルグリーンブーツ・アライアンス) – 1.25
【※集計不可】KHC(クラフトハインツ) – ×
【ヘルスケアセクター】ベータ値ランキング
【第1位】LLY(イーライリリー) – 0.34
【第2位】UNH(ユナイテッドヘルス) – 0.63
【第3位】JNJ(ジョンソンアンドジョンソン) – 0.78
【第4位】MRK(メルク) – 0.80
【第5位】AZN(アストラゼネカ) – 0.81 (※英国株ADR)
【第6位】PFE(ファイザー) – 1.00
【第7位】MDT(メドトロニック) – 1.01
【第8位】GSK(グラクソ・スミスクライン) – 1.03 (※英国株ADR)
【第9位】GILD(ギリアド・サイエンシズ) – 1.14
【第10位】BMY(ブリストル・マイヤーズ) – 1.19
【第11位】AMGN(アムジェン) – 1.36
【第12位】ABBV(アッヴィ) – 1.53
【第13位】ABT(アボット・ラボラトリーズ) – 1.55
【エネルギーセクター】ベータ値ランキング
【第1位】OXY(オキシデンタル・ペトロリウム) – 0.67
【第2位】XOM(エクソンモービル) – 0.82
【第3位】BP(BP) – 0.95 (※英国株ADR)
【第4位】SLB(シュルンベルジェ) – 1.05
【第5位】HAL(ハリバートン) – 1.08
【第6位】RDSB(ロイヤルダッチシェル) – 1.11 (※英国株ADR)
【第7位】CVX(シェブロン) – 1.24
【その他のセクター】ベータ値ランキング
<電気通信>
【第1位】T(AT&T) – 0.49
【第2位】VZ(ベライゾン) – 0.56
【第3位】VOD(ボーダフォン) – 0.95 (※英国株ADR)
<一般消費財>
【第1位】MCD(マクドナルド) – 0.69
【第2位】YUM(ヤム!ブランズ) – 0.83
【第3位】HD(ホームデポ) – 1.07
<資本財>
【第1位】MMM(スリーエム) – 1.09
【第2位】GE(ゼネラルエレクトリック) – 1.19
<情報技術>
【第1位】IBM(アイビーエム) -0.95
【第2位】INTC(インテル) – 1.07
【第3位】CSCO(シスコ・システムズ) – 1.21
【FANG&MANT銘柄】ベータ値ランキング
【第1位】FB(フェイスブック) – 0.70
【第2位】GOOGL(グーグル) – 0.96
【第3位】MSFT(マイクロソフト) – 1.01
【第4位】TSLA(テスラ) – 1.05
【第5位】NFLX(ネットフリックス) – 1.09
【第6位】NVDA(エヌビディア) – 1.28
【第7位】AAPL(アップル) – 1.29
【第8位】AMZN(アマゾン) – 1.47
考察まとめ
ベータ値の低さで言うと、全体的にはやはり生活必需品セクターの銘柄が際立ちます。
特に、ウォルマートの0.29という値は飛び抜けて低いですね。
やはりベータ値を加味した上でも、このセクターは安心して長期保有できる優良銘柄ばかりです。
また、電気通信セクターもベライゾン、AT&Tともにベータ値が低く、長期保有に適している事が分かります。
その反面、ヘルスケアセクターはベータ値が1を超える銘柄も少なくないのが意外でした。
ここ数年のヘルスケア期待もあり、それがベータ値を押し上げた形でしょうか。
業種全体に対してディフェンシブなイメージが強いだけに、ヘルスケア銘柄はこの点、少し注意して見た方が良いのかも知れません。
そして、もう一つ意外だったのが、今をときめくFANG&MANT銘柄も、ベータ値としては決してずば抜けて高いわけではない(それどころか1を切っている銘柄もある)、という事です。
これは、FANG&MANTの時価総額が非常に大きく、それ自体が市場平均を牽引しているため、相対的にベータ値も低く抑えられているのではないか、と著者は考えています。
・・・アマゾンの1.47は流石に高い値だな、とは感じましたが。
さて、諸々まとめてみましたが、いかがでしょうか。
配当利回りやPERなどの指標も重要ですが、長期投資ではベータ値も重要な指標なので、しっかりチェックしていきたいですね。
ご参考の一助になれば幸いです!